Workaholic Tokyo

京都大学を卒業後、ワーカホリックな日々を送る黒澤のブログ

世界的に見て、日本の企業は生産性が低いと言われている。生産性を最大化するためには、働く従業員が仕事にフルコミットし、持てる能力を最大限発揮することが求められる。当然である。経営者はそのための環境を整えることが仕事である。では、従業員は一体何のためであれば己の全てを仕事にコミットするようになるのか。

私が思うにポイントは3つあると思う。まず、特殊なものから挙げれば「その仕事を好きかどうか」という観点だ。例えば野球選手。彼らは遊びとして幼いころに野球を始めた(まさか、初めて野球を観た時、初めて球を投げた時、初めてバットを振った時から、我々凡人の就職活動のような意識で職業野球選手を目指した子供はいないだろう。もちろん、職業野球選手になりたいという夢を抱いてはいたとしても)はずであり、人よりも野球が上手かったのだろう。そして、上手いからこそ益々野球を好きになり、果ては野球が職業になってしまった例である。

究極の例でいえばイチロー。彼は、常人から見れば、生活におけるあらゆるものを犠牲にして(無論、彼にとって「犠牲にして」という表現には違和感を感ぜざるを得ないであろう点には今は目をつむってほしい)、仕事に一直線に打ち込んだ。フルコミットしたのだ。結果、あれだけの成績を残した(我々で言うところの「生産性」を発揮した)のである。これはもう天賦の才であり、イチローの父(以下、チチロー)が彼に対して課したトレーニングによって身に付けられた能力ではない。

我々に置き換えれば、経営者が労働者一人一人に「仕事を好きに”ならせる”」ことはできないのである。できたと思っている経営者がいれば、私はそれは愚かだと思う。労働者にとって経営者は絶対的存在であり、本音で話すことは基本的にない。サラリーマンである限り、経営者(側)とは超えられない壁がある。本音がその壁を越えて経営者に届くことは基本無い。特に大企業においては。

「仕事を好きかどうか」が生産性に及ぼす影響はごくわずかである。

プロ野球界においては、もはや全員が野球好きなので、好きかどうかが生産性の良し悪しを決める要因にはならないし、我々凡人においては「基本的にみんな、仕事は嫌い」だと言えるだろうから、プロ野球選手とは逆の意味ではあるが、これもまた生産性に影響を及ぼす主要因とはなり得ないと私は考える。となれば、2点目であるが、「危機感」であろう。

ここで言う危機感とは、「仕事を頑張らないとクビになる」、「結果を残さないと降格する、クビになる」という言わばプレッシャーのようなものを指している。人が最大限にパフォーマンスを発揮するのは背水の陣だと思っている。つまり、追い込まれたとき。日本の企業は、より一層個々人のパフォーマンス発揮を評価すべき(そういった人事制度を構築すべき)だと思うし、日本社会は雇用の流動性を高める方向性へと舵を切らねばならない。お尻に火をつける気持ちで社会全体が変わる必要がある。自ら変わらなくても生活が保障されている状態では、一部の向上心に充ち溢れた者以外、人間は動かないものである。人口減少で国力が落ちつつある現代において、もはや一部の生産性高い人間にしがみついている余裕などない。いずれ、社会は雇用を守れなくなり、流動化に舵を切るだろう。そうすれば我々は首になり、有能な外国人が日本に入って、我々にとって代わるだろう。

3点目は、やはり「金」である。報酬だ。正当に働きを評価する報酬を受け取れないのであれば、労働者の勤労意欲が増し生産性が向上することはあり得ないだろう。(伝統的な)日本企業にはいまだに「年功序列」という摩訶不思議なシステムが蔓延っている。もしかすると、以前よりはましになってきているのかもしれないが、基本的にはまだまだ年功序列だろう。その大きな問題点は「同期のほとんどがほぼ同時に同じタイトル(職位)に昇格すること」にある。無駄に中間管理職が多くなる。部下を持たない「なんちゃって課長や部長」が多く発生する。米国に比べて多くのタイトル(職位)が必要になり、会社としての意思決定も遅れてしまう。先の記事に書いた新卒一括採用がこの問題の一員であることは言うまでもないだろう。能力・生産性ではなく、「総合的に判断して」昇格させることが果たして本当に必要なのだろうか。社員のモチベーション低下につながっているのではないか。

前回記事





また、日本企業特有の様々な「手当」もどうなのだろうか。家族手当、住宅手当。

本来、貰えるお金は仕事の成果によってのみ決定されるべきもののはずだ。家庭環境は仕事には関係ない。我々の評価はその一点であるべきだが、実質的には結婚していたほうが得をしたりと、最早意味不明である。家族が出来たらその分頑張って仕事で成果を出して給料を稼がなければならない、という思考になりにくいのが日本企業。

そりゃあ生産性が上がるはずもないだろう。

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット