ヴィッセル神戸にアンドレス・イニエスタ選手が加入した。言わずと知れたサッカー界のスーパースターである彼にまつわるニュースが先日リリースされていた。

アシックスがイニエスタとのアドバイザリー契約を発表! 「チームアシックスとともに」

(元記事)


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イニエスタと言えば、バルセロナ時代からナイキのスパイクを着用していることで有名だ。近年のサッカー界では、NIKEとアディダスが双璧を成しており、どんなプレイヤーも大体この2社のうちのどちらかを着用していることがほとんどである。

リオネル・メッシ→アディダス

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クリスティアーノ・ロナウド→NIKE

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そんな中、世界的なスーパースターであるイニエスタが極東の島国である日本のメーカーと契約を結ぶことは異例 of 異例。このニュースを観た時、「マジか」という衝撃を受けたと同時に、自分がサッカーをしていた頃にどんなスパイクを着用していたかについて思いを馳せてみた。



私の少年時代はスパイク戦国乱世だった

私がサッカーを始めたのは小学生のころ。いまから20年前に遡る。まず、今のスパイク事情と大きく違うのは、スパイクの色遣いだ。当時のスパイクはほとんど「黒」しかなかった。みんな黒いスパイクを着用してサッカーをしていた。

1998年、フランスワールドカップの写真をいくつか見てほしい。

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そしてこれが2018年、ロシアワールドカップの写真だ。

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フランスワールドカップはほぼ真っ黒。どこのメーカーも黒がメイン。それが20年後のロシアワールドカップでは赤、白、青と様々なカラーリングのスパイクを選手たちは着用している。これは大きな変化です。私がサッカーを始めたころは、ちょうどフランスワールドカップの時代だったので、私たちサッカー少年が憧れるスパイクの色も当然「黒」でした。

そして当時私が最も憧れていたスパイクがこちら。

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アディダス社の誇る「プレデターアクセレレイターリガ」である。あのジネディーヌ・ジダンらが着用していた。日本では名波さんが着用していた。10番が着用するものというイメージがついていた。しかし、値段は死ぬほど高かった。2万円ぐらいした。私は親と交渉した。

買ってくれ。

いや、買わない。

議論は平行線をたどり、結局妥結するには至らなかった。当たり前の話ではあるが、親の言い分としては、今履いているスパイクがダメになってからじゃないとそもそも議論にならない、とのことだった。

私はアシックスの安いスパイクを引き続き着用することになった。今のようにイニエスタがアシックスを着用していれば、アシックスであることに誇りを持つことが出来たかもしれないが、当時はどんなプレイヤーがアシックスを着用しているかなんて知らなかったし、アディダスを履いている友人に対して少しばかり劣等感を感じた。

アシックスを履いていたのはファン・セバスチャン・ベロンぐらいだった。

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すごい選手なんですけど、サッカーを見始めたばかりの少年が憧れるには少々いかつ過ぎたのである。



私は悔しかった。どれだけ願っても嘆いてもプレデターを買うことはできなかったのだが、毎晩毎晩ワールドサッカーダイジェストの広告欄でスパイク一覧を眺めながら眠っていた。
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当時、サッカー少年の間ではアディダスがやや抜けているも、ナイキ、アシックス、プーマ、ミズノ、ディアドラ、lotto、アンブロなどが居並ぶまさに戦国乱世状態

「どんなスパイクを履いているか」は子供たちにとってサッカーのうまさと並び立つほどのステータスだった。スパイクのポイント(靴底についてる突起)を早くすり減らして親に新しいスパイクを買ってもらおう、そのためにもっと練習しようという動機から少年たちはサッカーに夢中になって取り組んだ。





2002年日韓ワールドカップ

2002年のワールドカップに合わせて、アディダス社は新たなるプレデターシリーズを発表した。

「プレデターマニア」である。

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これが本当にかっこよかった。ひとつ前の「プレデタープレシジョン」はシュータンがマジックテープで固定できるようになっていたが、このマニアはゴムで固定する形式だ。斬新すぎる。

そしてその地位を確固たるものに高めたのはイングランドの貴公子だった。

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ベッカムがホワイトカラーのプレデターマニアを着用したのである。本当にかっこいいし、当時としてはまだまだ目立つ存在だった「黒以外」のスパイクを全国のサッカー少年たちは喉から手が出るほど欲しがったのである。

親の財力等により見事にプレデターマニアを調達した少年たちは、こぞってベッカムのように靴紐を通す穴を1つ通さずに、シュータンを思いっきり下に引き伸ばして子のスパイクを履いていた。そして、やたらとインフロントキックでカーブをかける練習をしたものである。

日韓ワールドカップでは他にも個性的なスパイクが登場した。

ナイキ社の「トータル90」である。

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ワールドカップを制したブラジル代表の多くの選手が着用していた。

なかでも、このロベルト・カルロス選手が着用していたホワイトが大人気だった。プレデターマニア利用者とは対照的に、トータル90を履いている少年たちはこぞってアウトで強烈な弾丸シュートを打ち放つ練習に勤しんだものだ。私もよく捻挫をした。

そして、ブラジル代表といえばもう一人、忘れてはいけないクラッキがいる。

リバウドだ。(コッリーナさんに目が行く写真ですねw)

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リバウドが着用していたスパイクはなんとMizuno。ウェーブカップというモデルである。

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本当にかっこよかった。Mizunoの存在感が急激に高まった。それまで、Mizunoといえばモレリア(日本代表の森島選手や柳沢選手が着用、現代でいえば川崎フロンターレの中村憲剛選手)が有名だったが、そこに突如としてウェーブカップが割り込んできた。このスパイクも当時めちゃめちゃ値段が高かったので、デザインがほぼ同じである「クェーサーカップ」というスパイクを少年隊値は買い求めた

そしてリバウドのように、すべてのプレーを左足一本でこなす練習に励んだのである。



本当に大切なこと

スパイクは本当に魅力的だ。サッカーそのものと同じぐらいの魅力がある。パティークやパラメヒコ、マーキュリアルシリーズについても語りたいところだがやめておこう。時間がいくらってあっても足りない。

スパイクは魅力的なのだが、今、まさにボールを追いかけているサッカー少年諸君には覚えておいてほしいことがある。サッカーのうまさはスパイクのカッコよさと比例しない。これが真実である。カッコいいスパイクを手に入れることは結構だが、それで満足してはいけない。むしろ、ダサいスパイクを早くボロボロになるまで使い切る、そのために練習に一生懸命取り組むことのほうが大事なんです。

サッカーはファッションではない。

目立つことも大切なこと。人目にとまり、プレーを観てもらえるからだ。でも勘違いしてはいけないのは、観衆はキミのスパイクを見ているのではない。キミのプレーを観ているのだ。そこを勘違いせず、これからも練習に励み、日本サッカーの未来を切り拓いていってほしいと思う。